英雄ルーク、年に一度の冒険へ！

その日、ルークくんは朝から様子が違った。
飼い主の靴音にピクリと反応し、くるりと一回転。そしておもむろに玄関マットの上でポーズを決めた。
「今日は、あの日だワン！」
そう、年に一度の混合ワクチン。犬界のヒーローたるもの、健康管理は欠かせない。ルークは使命感に燃えていた。

動物病院の自動ドアが開くと同時に、ルークの冒険は始まった。
「ルゥゥゥークー！」と駆け寄るスタッフのお姉さんに、ルークは渾身のジャンプアタック！
顔面をぺろぺろ攻撃しながら「今年も来たよ！」と言わんばかりの笑顔を炸裂させた。
受付のお姉さんも、獣医の先生も、その愛の嵐に満面の笑みで迎え撃つ。

診察室では更なるドラマが待っていた。
体重計にのるや否や、クルクル回って「どう？このボディ、キープしてるでしょ？」と自慢気。
先生が注射器を構えたときも、ルークは一歩もひかない。勇敢にお尻を差し出し、「我に打て！」と堂々たる態度。
チクリとした痛みにも動じず、「ふっ…この程度か」と軽く鼻を鳴らした。

終わった後は、ご褒美のビスケットを受け取り、またしてもスタッフに飛びつき舐めまくる。
「ありがとう、勇者を称える祝賀パーティーだね！」とでも言いたげなそのテンション。
もちろん、誰にも迷惑はかけていない。むしろ皆が笑顔になり、病院全体がルークの物語に包まれていた。

帰りの車の中、ルークはスヤスヤと眠りながら夢を見る。
「来年もまた、あの戦場へ赴かねば…」
そう、彼はただのトイプードルではない。
年に一度、混合ワクチンの聖地に降臨する——小さな英雄ルークなのだ。