ココア浴の効果とやり方
病気にココア浴の治療は効果あり?
ココア浴のやり方と治療経過。
手塩にかけて育てている愛魚が病気に罹ってしまったら、あなたはどうしますか?
魚の病気は進行が早い場合が多く、感染しやすいので、うっかりしていると水槽全体が手遅れになるので 予防が第一、早期発見治療が大切 です。
しかし、動物のように獣医さんがいるわけではなく、相談窓口が少ないが難しいところ。
魚に詳しいペットショップや友人に相談するか、自分で本やネットで調べるしかないのが現状です。
病気の判断はとても難しく、治療法を誤るとあっという間に死んでしまいます。
魚にとって悪影響が少なく、効果が期待される治療方法 のひとつとして、 ココア浴があります。
この記事では ココア浴とはどんなものか、どんな効果があってどんな病気に有効なのか、メリットとデメリットなどの情報を紹介 します。
また、ココア浴を実際に行い、 エロモナス菌から生還したフクドジョウ、失敗した金魚の実例 も画像と共にまとめます。
気にあることだけ読みたい場合は下記目次・項目をクリックしてもらえればそこまでジャンプします。
ココア浴の治療と成分・効果について
ココア浴治療がなぜ効果があるのかというのは、ココアの成分とその効果を確認すれば理解が深まります。
ココア浴の治療は民間療法
ココア浴とは、ココアに含まれる成分に注目した治療法で、純ココアを用いて行います。
ただし、薬品や浸透圧を利用した塩水浴とは違い、魚に対する科学的根拠と実践が少ないので、治療法として確立していません。
ココアの成分とその効果をチェック。
ココアの成分とその効果をチェックしてみましょう。
「効果がある」と言われても何がどう効果を表すのかわからなければ納得もできないでしょう。
ココアの成分と効果に注目すると、効果の由来がよく分かります。
ココア浴は主に、殺菌、整腸作用、排便促進、代謝上昇などの効果が期待されます。
たんぱく質
タンパク質は 魚にとっての栄養。 餌の代わりになります。
ポリフェノール
ポリフェノールには 抗酸化作用、整腸作用 が期待できます。
カリウム
カリウムは 生体の代謝を上げ、腸の運動を促進します。
食物繊維
食物繊維はおなかのお掃除。 排便を促します。
オレイン酸
オレイン酸は悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やします。
魚の消化器に溜まったガスを抜く作用があります。
アントシアニン・カテキン
アントシアニン・カテキンには 菌の活性抑制作用、殺菌作用があります。
まるで健康雑誌のような内容ですね。
繰り返しになりますが、これらは 動物や人間に対して科学的根拠と実証があるのですが、魚についての研究報告がされていません。
ココア浴は効果がないという声もありますが、研究報告がないことやあくまで民間療法でしかないことから、ココア浴に効果はないというアクアリストの意見につながるようです。
ココア浴で効果が期待できる病気
ココア浴はどんな病気にでも効果が期待できる万能治療法ではありません。
生体の様子をよく見て実践しましょう。
どのような病気にココア浴が効果があるのかを調査すると以下のようなものが挙げられていました。
ごく初期の松かさ病
松かさ病の原因は未だはっきり判明しておらず、エロモナス系の細菌が原因の場合や、肝臓の障害や消化器の機能低下による浸透圧異常でも発症する場合があるそうです。
エロモナス菌や消化系機能低下が原因の松かさ病には有効 と考えられていますが、肝臓障害による松かさ病の場合は効果が期待できません。
末期以外のエロモナス系症候群
ココア浴は エロモナス菌 にも特に有効と考えられています。
殺菌作用 に加え、腸の運動を促進して排便を促します。
体表面はもちろん、 腸内に潜り込んだエロモナス菌をすっきり排出 できると期待されます。
ただ、赤く腫れただれているほど症状が進行してしまうと、患部に悪影響という意見もあります。試すなら早期発見・初期段階、末期以外のエロモナス系症候群がおすすめです。
消化系の内臓疾患での治療、便秘。転覆病(浮くタイプのみ)
ココア浴が効果のあるのは消化器内にガスが溜まった 魚体が浮いてしまう転覆症状のみ です。
「うきぶくろ」の異常により発症する沈むタイプの転覆病に、ココア浴は効果がありません。
水カビ病への効果は?
詳しくは後述しますが、少なくとも私が行った実例で、フクドジョウでエロモナス菌と水カビ病が併発したケースでは、水かび病にも効果があったように思います。
しかし、他の方の事例を調べてみましたが、ココアの殺菌効果は水カビ病に有効であるとか、回復例はありませんでした。
虫が原因の病気には効果が期待できない?
先に挙げたココア成分からみても、 虫に対する効果は期待できない ようです。
調べましたが、白点虫、イカリムシ等、虫の寄生が原因の病気に対しての回復例はありませんでした。
ココア浴は熱帯魚や海水魚にも有効?
金魚の治療に利用されるケースが多いココア浴ですが、ベタやグッピーなどの回復例があり、熱帯魚にも悪影響は無いようです。
海水魚についても調べましたが、治療例が無いので、やめておくのが無難でしょう。
ココア浴のメリットとデメリット
ココア浴は賛否両論の治療法です。アクアリストの意見からメリットとデメリットをまとめました。
ココア浴のメリット
ココア浴のメリットには次のようなものがあります。
経費が掛からない
薬を用いた治療だと薬代もかかりますが、バンホーテン(純ココア)だと、かなり安上がりです。
治療に必要なココアはごくわずかですから、 1回100円以内 でおさまりそうですね。
材料が入手しやすい
純ココアは食料として近所のスーパーでもよく売られていますし、お菓子作りが好きな家族がいれば、もしかしたら家にあるかもしれませんね。
生体への影響が少ない
成分から見ても薬よりは生体に影響は少ないので、初期段階の治療として気軽に始められると思います。
人体に触れても危険性がない
食材なので、手で触れても大丈夫です。人体に触れても危険性がないというのはありがたいことです。
濃度が厳密ではなく多少の誤差は許される
濃すぎるココアは毒ですが、薬よりもおおらかに使えます。
濃度が厳密ではないため多少の誤差では大きなトラブルになりにくいです。
ココア浴のデメリット
魚に対する実践研究が少なく、治療法として確立されていない
ココア浴で回復したという声はありますが、魚への科学的根拠、効果の実証、保証は無いので 治療法として確立していません。
行うならあくまで 自己責任です。
水草やバクテリアなどにダメージあり
薬ほどではありませんが、ココアにも殺菌作用があるので 水槽内の環境に影響を及ぼす可能性があります。
治療は必ず隔離容器で行いましょう。
水に茶色濁り、観察しにくい
ココア浴ではココアを溶かすため水が茶色に濁り、生体が回復しているのか悪化しているのか観察しにくいです。
これは 治療の経過観察をするうえで、結構なネックです。注意して見守って下さい。
ココア浴で絶対意識してほしい注意点
魚に害は少ないココアですが、使い方を誤ると毒にもなります。
デメリットをふまえて、注意点をまとめました。
安全にココア浴をするためにも、この注意点は絶対に意識しておきましょう。
病気の魚を隔離して行う
ココアにも殺菌作用があるので、魚は大丈夫でも バクテリアや水草には悪影響 です。必ず病気の魚を隔離して行いましょう。
必ず純ココアを用いる
ミルクココアなど、飲んでおいしいココアは使えません。
砂糖やカゼインなど魚にとって有害な成分がたくさん入っています。
必ず 製菓用の純ココア を使ってください。
ろ過機や活性炭は使わない
薬を使う時と同様に、 ろ材や活性炭がココア成分を吸収 してしまうので、ろ過機は不要です。
エアーの量を通常よりも増やす
ココアに含まれる油分で 通常よりも酸素が足りない状態 に陥りやすくなります。
でも水流が強くなりすぎるとストレスになるから注意ですよ。
水をこまめに交換する
ココアに含まれるたんぱく質とそれを餌として摂取した後に排出される糞が水を汚します。
調べてみると、たんぱく質が分解されてわずか1日でアンモニアに変わってしまうという例もあります。
水温に差が出ないように気をつけて、毎日~少なくても1日おきには全量の水換えを行ってください。
新陳代謝を高めることで治癒が早くなります。
エサは不要
ココアに含まれるタンパク質で栄養分は補充することができます。
薬餌など特別な場合以外、 水質悪化を避けるためにもエサは不要です。
水温を18度以上にする
水温が18度を下回るとココアの成分が固まってしまい、 腸閉塞やエラ詰まりの原因 になってしまいます。
ココアは少しずつ・徐々に濃くすること
影響は少ないとはいえ、急激な水の変化は魚に有害です。
0.02%くらいのうっすら色づく程度から始め、様子を見ながら徐々に濃度を濃くしましょう。
(茶色で生体が見えなくなるくらい入れてはいけません。)
ココアの濃度は0.1%まで
純ココア濃度の上限は0.1%です。
(水1L(1000g)に対してココア10gですね。)
それ以上になると エラにココアが吸着して、呼吸困難になる恐れがあります。
3~7日で効果が見られなければ別の治療法を
ココア浴が生体への悪影響が少ないとはいえ、長々と続けることはありません。
ココア浴は万能ではないので、 他の治療法が生体に合っていることも考えられます。
3日目で変化が無ければさらに少しずつ濃度を上げ、7日続けても効果が見られなければ、他の治療法を考えましょう。
エラにココアが詰まった場合の対処法
エラにココアが詰まることもあります。当然生体にとってこれは悪影響です。
次のような対処を試みましょう。
- 水温を上げるとココアが溶けやすくなります。
- 少しずつ水換えをすることでココア濃度が下がり溶けやすくなります。
- エアレーションを強くして水流を付けることでココアが取れやすくなることも。
薬や塩浴との併用について
ココア成分が薬に反応して有害にはなった報告は無いようです。
また、観パラDとの組み合わせが良いという意見もあります。
このような意見の違いを見ると、ココア浴はやはり科学的根拠と実践が不十分な治療法だと感じます。
生体の様子を見ながら、慎重に行うことをおすすめします。
ココア玉と薬餌
ココアは水に溶かすだけでなく、 エサとして与えても殺菌‣整腸‣排便などの効果が期待 できます。
作り方は簡単。
純ココアにごく少量の水を加えて、粘土のように餌の大きさに丸めて、1日ほど乾燥させて出来上がりです。
薬餌として餌に混ぜることもできますが、 エロモナス菌による発症の場合はエサを混ぜずココアのみで玉を作って与えて下さい。
腸内環境を整える妨げとなります。
ココア浴とココア玉の併用は問題ありません。しかし、ココア濃度が上がりすぎないように注意が必要です。
ココアと水量の計算例
ココア浴では薄めの濃度から始めることが大切でしたね。
水量をグラムに直してから計算しましょう。
基本は、 水量(リットル)×1000×0.02(%)÷100(100分率)=ココアの量(g)です。
ココアと水量の計算例は次の通りです。
0.02%のココア浴をする場合
0.02%でココア浴スタートする場合、以下のような計算になります。
- 水10Lで、10×1000×0.02÷100=2g
- 水5Lで、5×1000×0.02÷100=1g
- 水1Lで、10×1000×0.02÷100=0.2g
0.02%で効果がなくて2倍にしたければココア量を単純に倍にしていけばいいですね。
0.1%のココア浴をする場合
ココア浴の上限濃度が0.1%でしたね。
0.1%のココア浴をするのであれば、以下のような計算になります。
- 水10Lで、10×1000×0.1÷100=10g
- 水5Lで、5×1000×0.1÷100=5g
- 水1Lで、10×1000×0.1÷100=1g
ココア水の画像で、ココア濃度と水の色を比較
ココア浴は最初は0.02%くらいのごく少量から始めてください。
薬とは違いさほど厳密ではないので、これから紹介するココア水の色の画像を目安に作っても良いと思います。
0.02%水2Lに対してココア0.4g(写真に向かって左側)、0.1%水2Lに対してココア2g(写真に向かって右側) を調整した写真を見比べていきます。
そのままの状態で比較
上から見るとそうでもありませんが、横から見るとはっきり色が違います。
0.02%の方は出がらしの紅茶みたいな感じで、0.1%の方はちょっと濃いめの紅茶のような感じでしょうか。
レゴブロックを入れて比較
どのくらい中のものが観察できるかという参考にでもなればと思います。赤と黄色のレゴブロックを沈めてみました。
ブロックが水に浮いている状態ではハッキリみえますが、沈んでしまうととたんに見えなくなってしまいます。
また、ブロックの色によっても見え方が違いますね。
このようにココア浴では0.02%の濃度であってもこれだけ視界が悪くなります。
治療の際には生体をいろんな角度から観察しましょう。
ココア浴に必要なもの
ココア浴に必要となるものは以下の通りです。
- 純ココア(バンホーデン、森永がオススメ)
- 食塩
- カルキ抜きした水
- ココアを量るはかりや計量スプーン
- 冬場ならヒーター
- 隔離容器・水槽
- エアーポンプ・エアストーン
※量ったところ、 小さじ1杯で約2g、小さじ半分で1g、小さじ1/4で0.5g でした。
治療対象外の生体に負担がかからないように、必ず別水槽に移して治療をするようにしましょう。
ココア浴のやり方・方法、手順
ココア浴の方法・手順は次のように行います。
10Lで0.02%のココア浴をする場合の一例でやり方を紹介します。
- カルキ抜きした少量の水を60℃以上に温めてココア2gを溶かす。
- カルキ抜きした水とココアを混ぜて5L(容器半量)の水を作る。
- 飼育していた水槽から5Lを治療容器に移す。
- ヒーターやエアレーションなどを設置する。
- 生体を治療容器に入れる
- 水合わせのように➁のココア水を少量ずつ入れる。
- ➁のココア水を全て入れると0.02%のココア浴となる
(冷たい水ではココアが溶けません)
(現段階では0.04%のココア水)
私は1時間おきに4回に分けて入れましたが、 スポイトなどで少しずつ慎重に足していくと魚への負担が少ないです。
ココア浴の実例を2つ紹介(フクドジョウ、金魚)
私が経験したココア浴の成功例、失敗例を紹介します。
フクドジョウココア浴の成功?例
エロモナス菌と水カビ病のフクドジョウをココア浴で治療しました。
肛門が赤く腫れ、白く覆われて硬直しか毛ているような状況で、発見当初、見た目があまりにもグロテスクで写真を取り忘れてしまったので、治療2日目からの写真をご紹介します。
ドジョウは水質の変化には強いですが、薬にはめっぽう弱い魚です。
生体に影響が少なく、こまめな水替えが必要なココア浴は効果的な治療方法だと思います。
ドジョウ治療1日目
最初が肝心という思いで、4時間ほどかけて0.01%のココア浴なるようにゆっくりと濃くしていきました。
はじめてということでかなり緊張しています。
ドジョウ治療2日日目
ドジョウの様子も苦しそうではなかったので、0.01%から3時間程度かけて0.02%くらいに調整していきました。
うっすら魚が見えるような状態です。
発症初日の最悪の状態から脱し、ひれの先に赤が残るくらいまで回復しました。
ドジョウ治療3日目
3日目からはココア浴は8時間程度かけて0.04%まで濃くしました。
ドジョウのヒレの先の赤みが減ってきました。
少しずつですが、治療の甲斐もあり回復の兆しが見えているようです。
ドジョウ治療6日目
治療4日目にはココア浴も0.05~0.06%程度にまで濃くし、5日目からは0.07~0.08%まで濃くしました。
少しずつ濃くしてドジョウに急な負担をかけないように意識しました。
そうすることで、ひれの先の赤みが消え、活発ではないですが元気になりました。
少しエラに赤みが残っているようにも見えます。この時点で、ココア濃度を0.08%から0.02%へ徐々に下げました。
ドジョウ治療8日目
赤みが引いてスイスイ水槽を泳ぐくらいまでに回復し、エラもひれも赤みが無くなりましたが、肛門に腫れが残っています。
改善しているとはいえ、症状が続いているため0.02%のココア浴は続けていました。
ここまで治療することができたのですが、元気に泳げるようになったと思ったら、残念ながら完治前に飛び出し事故でお亡くなりになりました…
結果的にはこうなってしまいましたが、治療経過としては順調に進んだ一例だと思います。
ドジョウのココア浴の水換えについて
夏の暑い時期にココア浴をしていたので、ちょっと気を抜くと27℃まで上昇するような状況でした。
頻回すぎる水換えはドジョウには負担になることも考えましたが、水温の上昇のほうが致命的だと考えて1日2~3回の水換えをしました。
これは毎日そとで仕事をしている人にとっては無理なことなので、自分なりの方法を探ってもらえたらと思います。
金魚のココア浴の失敗例
金魚すくいでもらってきた和金の治療失敗例です。
金魚すくいの金魚が白い糞をしていたので消化不良かと考えられたことと、同じ水槽の金魚がエロモナス菌で肛門が赤くなっていたので、塩浴とココア浴を始めました。
いきなり高濃度で失敗
フクドジョウのココア浴での経験でへんな自信をもってしまい、いきなり0.04%のココア浴をはじめてしまいました。
ココア浴としては高濃度というほどのものでもないのですが、生体の様子を見ながら数時間かけて少しずつ濃くしていくほうが良いのは分かっていたのに、2時間くらいで一気に0.04%にしてしまいました。
金魚すくいでもらったものなのでもともと弱っていたこともあると思いますが、 いきなり高濃度で開始してしまったのが失敗の原因だと考えます。
また、金魚のサイズと容器のサイズに対して、エアレーションが強すぎて負担になってしまっていたことも考えらえます。
翌日、真っ白になって死んでしまいました。私の失敗でかわいそうなことをしました。
まとめ・おわりに
自身がココア浴をした経験と、アクアリストの賛否両論意見をまとめて、ココア浴はまだまだ研究途上の治療方法だと思いました。
生体への研究例が少なく、民間療法の域なので、確実に効果があるとは言えません。
しかし、菌(特にエロモナス菌)に対する治療実績も少なくないですし、薬よりも生体への影響は少ないので、ごく初期の治療として試してみる価値はあると思っています。
あくまで自己責任、デメリットも踏まえたうえで、生体の様子を見ながら慎重に行いましょう。
3日~1週間経っても変化が表れない場合は、勇気をもって治療方法の変更も考えましょう。
最後まで読んでいただいてありがとうございます!(^^)!
少しでも役に立つ情報があったと思ってもらえたら、記事の最下からシェアしてもらえると幸いです。
シェアで多くの方に見てもらえることが励み・モチベーションアップになります(^_-)-☆
2つのブログランキングにも参加しています。
よろしければ下記アイコンをクリックしてもらえるとブログランキングが上がるための貴重なクリックになります。