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アクアリウム初心者が失敗しやすい10項目と対策・改善方法。

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アクアリウム初心者が失敗しやすい10項目。
トラブルになる理由とその対策・改善方法を紹介。

 

はじめに

アクアリウムは楽しいものですが、安易に初めても失敗やトラブルのもとになります。
とくに初心者はやりたいことに夢中になりがちで、基本的かつ重要なポイントを見逃して失敗しやすい傾向にあります。

早いうちに、アクアリウムで失敗しやすいポイントを把握し、他者の失敗経験を知ることで、同じ過ちを避けることができるでしょう。

ここでは初心者が陥りがちなアクアリウムの失敗とトラブル、それに対する対策を紹介し、アクアリストたちの共通の失敗も共有しておきましょう。

失敗①:小さい水槽から始める

「初心者だからまずは小さな水槽から始めてみよう」
と考えたことがある人も多いのではないでしょうか。

小さい水槽は水質管理が難しい。小型水槽は上級者向け

小さい水槽の水量は少ないため、水質の変動が大きく影響を与えやすいです。
また、水質を安定させることが難しく、初心者が水質管理に失敗しやすい状況となります。
小さい水槽では水温や酸素量の変動も早く起こりやすく、これが魚や生態系にストレスをかけ、病気やトラブルの原因となります。
さらに、小さい水槽では過密になりやすく、魚たちのストレスや競争が激化しやすいです。
このような理由から、初心者には小さな水槽はお勧めできません。

対策:60㎝水槽から始めよう

知識を増やせば失敗しにくくなりますが、実際には、一般的な知識だけでは不足し、実践や経験が重要な役割を果たします。
自分の知識を過信せず、小型水槽の管理が難しいことを認識し、60㎝水槽からスタートすることをおすすめします。
サイズ的に難しいのであれば「できるだけ大きな水槽を」と意識してください。

失敗②:水槽セッティング後、すぐに飼育開始して死亡事例が続発

新しい水槽や装備を整えた直後に熱帯魚の飼育を始め、次々と魚が死んでしまう問題は、比較的よく見られるトラブルの一つです。
なぜ水槽セッティング直後にこのような問題が生じるのか、そしてどのようにしてこれを回避できるのかについて考察してみましょう。
 

原因は濾過バクテリアとアンモニアの関係

アクアリウムを新品水槽セットで始める喜びは格別ですが、立ち上げた直後こそ最も注意が必要な時期です。
その理由は、濾過バクテリアとアンモニアの関係にトラブルの原因があるからです。
新しく立ち上げたアクアリウムでは、水を浄化するフィルターやろ過器に濾過バクテリアがまだ繁殖していません。
熱帯魚の飼育中、エサの残りやフンなどから有害なアンモニアが発生します。
このアンモニアを分解するのが濾過バクテリアです。
つまり、アンモニアが発生する一方で、それを分解する濾過バクテリアが不足している状態となります。
汚染物質は発生しても、それを処理する力がないため、悪影響が避けられません。
 

対策①:濾過バクテリアの発生を待つ

水槽をセッティングしてフィルターを回していれば、濾過バクテリアは自然発生します。
とはいえ、一定の状態に達して多少安定するまでには約1ヶ月かかります。
しかし、それからも注意が必要で、急に魚を多量に入れるのは避けるべきです。
濾過バクテリアはまだ十分な量に達しておらず、導入した熱帯魚が発生させるアンモニアを処理しきれない可能性があります。
したがって、アクアリウムが十分に安定する前に大量の魚を導入することは、アクアリウムの失敗の原因となり得ます。
 

どうしてもすぐに熱帯魚を飼育したい場合は

どうしてもすぐに熱帯魚を飼育し始めたい場合には次のようなことで対処できることもあります。
 

丈夫な熱帯魚(パイロットフィッシュ)を選ぶ際の注意点

熱帯魚の中には、水質の変化に対して強いとされる種類があります。
例えば、アカヒレやネオンテトラなどが挙げられます。
これらの熱帯魚はパイロットフィッシュとも呼ばれ、比較的アンモニアの変動にも強いとされています。
ただし、これらの魚は変化に強いだけであり、アンモニアの影響を全く受けないわけではありません。
したがって、アンモニアが発生した場合は、水換えなどで水槽外にアンモニアを含む水を取り除くことが重要です。
変化に強い熱帯魚を選ぶ一方で、アクアリウム内の水質管理にも十分な配慮が必要です。
 

セッティング後は生体を少なめに

アクアリウムを新たにセッティングしたばかりの段階では、濾過バクテリアが未熟で、排泄物やエサの残りから発生する有害なアンモニアを分解する能力が低いことが前述した通りです。60センチ水槽なら、アカヒレやネオンテトラなどの魚は4匹くらいから始めることが良いでしょう。
多くの生体を同時に導入すると、アンモニアの発生量も増加し、水質が悪化してしまうリスクがあります。
濾過バクテリアがある程度繁殖している約4週目から、熱帯魚を1~2匹ずつ追加することが適しています。
 

水換え頻度の増加

発生したアンモニアを物理的に水槽外に排出させる最も効果的な方法が水換えです。
アンモニアを分解できない場合でも、アンモニアを撤去することで水質を改善することが可能です。
水換えによってアンモニアを水槽外に排出し、新しいきれいな水を供給することで、手っ取り早く水を浄化できます。
ただし、水換えは熱帯魚にとってはストレスとなる可能性があることに留意が必要です。水をザバーッと入れる際には、小型の熱帯魚にとってはストレスとなりますので、慎重に行うことが重要です。
 

人工的に濾過バクテリアなどを添加する

私は使用したことがありませんが、濾過バクテリアを含む液体などを水槽に添加するというものがあります。

これらを使用することでアンモニアを分解したり無害化させることも手段のひとつです。
 

他の水槽からバクテリアをもらう

すでにアクアリウムをしている知人などに頼んで 使い古しの濾材をもらって自分の水槽に入れること です。
濾材などは新品のほうがいいような気がするかもしれませんが、中古の濾材は濾過バクテリアが繁殖しており、即戦力となり得ます。
 

失敗➂:エサの与えすぎで水質悪化する

熱帯魚飼育で必要となるエサですが、このエサも与えすぎると水質が悪化する原因となります。
 

エサの与えすぎでの失敗:【栄養】の過剰投与

エサは熱帯魚にとって不可欠な栄養源であり、当然【栄養】が豊富に含まれています。
しかし、全てのエサが完食されるわけではなく、エサを投入する際や熱帯魚がエサを取り扱う過程でエサが砕け、水中に栄養が漏出します。
エサから漏出した栄養は水槽内でコケや水草の栄養源となりますが、それでも吸収されない分はアンモニアを発生させる可能性があります。
また、エサの供給過多により食べカスや食べ残しが増え、糞の量も増加して水を容易に汚す原因となります。
 

対策:給餌の回数や量を調整する

熱帯魚のエサとして市販されれいるものには“1日に2~3回、〇分で食べきれる程度を与える”という表現がされていることがあります。
販売・製造元がそう言っているのであまり強くいえないところもありますが、“エサは週に2回で大丈夫”というのが【私のやり方】です。
餌の回数と量が減れば、結果的には発生するアンモニアを減らすことができます。
「それで大丈夫なのか!」と言う意見、賛否両論あるかと思いますが、私がこの方法で特に失敗したと感じた事は無いのです。
毎日エサを与えたいという気持ちはすごく分かります。どうしても毎日エサを与えたいというのであれば、少量ずつを与えて一回量を減らすようにしてはいかがでしょうか。
 

失敗④:急激な水換えによるミス

一度の水換え量や頻度、やり方次第で水換えがアクアリウム環境の崩壊を招く可能性もあります。
 

原因:急激な水の交換

水換えで飼育水が綺麗なものになるのは間違いないです。
しかし急激な水の交換は、アクアリウム内の水質を急激に変化させ、魚や植物にストレスを与え、不安定な環境を作り出す可能性があります。
水質の急激な変化は、微生物や濾過バクテリアのバランスを乱し、魚の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
 

水換えも意識を持って

次のことを意識して水換えをすることで、水換えによるトラブルを予防しやすくなります。
 

段階的な水替え:

急激な変化を避けるために、大きな水槽でも段階的に水替えを行います。
例えば、週に20%ずつの水の交換を行うなど、安定した変化を心掛けます。

水質を測定

水質を定期的に測定して変動を把握しましょう。
PHやアンモニア、亜硝酸などの数値が急激に変化していれば、水替えの方法を見直す必要があります。

同じ水温で行う

急激な水温の変化もストレスの原因となります。
新しい水を追加する際には、既存の水と同じ温度に調整してから追加します。

濾過バクテリアを保護

急激な水の入れ替えは濾過バクテリアにも影響を与える可能性があります。
濾過バクテリアの安定を保つためにも、慎重かつ計画的な水替えが必要です。
 

失敗➄過剰数な魚の飼育

環境が安定した水槽であっても、多くの生体の飼育(過密水槽)することで水質が悪くなることがあります。
 

原因は水質悪化しやすい環境

環境が安定していても、魚の数が過剰である場合、水質が急激に悪化する可能性があります。
魚の排泄物やエサ残りが増え、これによってアンモニアや亜硝酸、硝酸塩などの有害物質が増加し、水質が劣化します。
これにより、魚たちの健康に悪影響を及ぼし、病気やストレスが発生しやすくなります。
 

すでに過密な飼育になっている場合の対処法

過密でない場合は過密にならないよう意識しましょう。
すでに過密という方は以下のことを検討してください。
 

魚の数を調整

適切なスペースを確保するために、過剰な魚を他の飼育者に譲渡したり、新しい水槽に移動させたりして、魚の数を調整します。

定期的な水質管理

過密な飼育では水質の急激な変化が起こりやすいため、定期的な水質検査を行い、アンモニアや亜硝酸、硝酸塩の濃度を確認し、必要に応じて水替えやフィルターのメンテナンスを行います。

適切な濾過システムの導入

強力な濾過システムを使用して、水質を安定させるための効果的な濾過を確保します。
より濾過環境が良くなるようにフィルターを追加したり交換することを検討しましょう。

水槽内のレイアウト見直し

適切な遊泳スペースや隠れ家を提供するために、水槽内のレイアウトを見直し、魚たちがストレスなく生活できるようにします。
 

失敗⑥:過剰な掃除・メンテナンス

掃除・メンテナンスのやりすぎもアクアリウムに悪影響を及ぼすこともあります。
 

原因:ろ材の洗いすぎはとくにNG

掃除・メンテナンスのやり過ぎで とくに問題になるのがフィルター・濾材の洗浄です。
濾材には濾過バクテリアが繁殖していますが、すすぎ洗いしすぎると濾過バクテリアが流れ出してしまいます。
濾過バクテリアが急に減少することでアンモニア処理能力などが低下して失敗・トラブルの原因となります。
 

対処:メンテナンスでバクテリアが減少することを意識する

濾材の目詰まりが発生すると濾過効率が低下するため、濾材のすすぎ洗いは重要です。しかし、濾材には濾過バクテリアが繁殖していることを考慮し、濾過バクテリアを減少させないように意識しておきましょう。

どんなに丁寧に行っても、バクテリアの現象は避けることはできませんが、意識するだけでも現象は少なくなるはずです。

また、濾過バクテリアの繁殖はフィルター・濾材だけでなく、底床材の隙間にも起こります。底面フィルターを使用している場合は、底床材がろ材の一部となるため、過度な掃除は致命的です。

底床材の掃除は何度かに分けて行い、慎重なメンテナンスを心がけましょう。底面フィルターについての詳細な情報は、以下の記事を参考にしてください。

また、メンテナンスによる濾過バクテリアの減少により濾過機能が低下しています。餌の量を減らしたり、水替えの量を少し増やすなどして、ろ過機能の低下を補えるように意識しましょう。

 

失敗⑦: 誤った混泳によるトラブル

魚の選び方:コミュニティとの調和を考えた魚の選択術

 

混泳がトラブルになる原因

混泳が誤った方向に進むと、魚たちのコミュニティに混乱が生じる可能性があります。異なる種類の魚を一緒に飼育する場合、性格、サイズ、水質の要件などを考慮せずに混泳させると、争いやストレス、食べ合いなどの問題が発生しやすくなります。

 

混泳のトラブルを避けるために

誤った混泳によるトラブルを回避するためには、以下のポイントに留意する必要があります。

魚の性格と相性を確認する

同じ水槽で飼育する魚たちの性格や攻撃性、群れ行動などを理解し、調和のとれる組み合わせを考えましょう。

サイズの違いに注意する

大きな魚と小さな魚を同じ水槽に入れる場合、大きな魚が小さな魚を攻撃するリスクがあるため、サイズの相性を考慮します。

水質の条件を揃える

魚たちはそれぞれ異なる水質の条件を好むことがあります。水槽内で共存させる際には、魚たちが快適に過ごせる共通の水質条件を提供することが重要です。

 

失敗⑧: 水槽設置場所の選択ミス

水槽の配置:理想的なレイアウトのポイントと注意すべきポイント

直射日光が当たる場所には置かない

水槽を直射日光が当たる場所に配置すると、いくつかの重要な問題が生じる可能性があります。まず、日光によって水温が急激に上昇し、これは魚や水生植物にとって快適でない環境となります。高温状態が続くと、酸素供給が不足する可能性があり、魚たちの健康に悪影響を及ぼすことがあります。また、日光の影響で水槽内で藻が繁殖しやすくなり、水が濁りやすくなるという問題も考えられます。

対策: 水槽を設置すべきでない場所とその理由

水槽を設置する際には、以下のポイントを考慮して誤った配置を避けることが重要です。

  1. 直射日光が当たる場所: 日光の影響を最小限に抑えるため、水槽は直射日光が当たらない場所に配置します。特に夏季の強い日差しには注意が必要です。
  2. 急激な温度変化のある場所: 冷暖房の出口や窓際など、急激な温度変化のある場所は避け、水温を一定に保つようにします。
  3. 揺れる場所: 人やペットの通り道や揺れる可能性のある場所は避け、水槽が安定した状態で飼育できるようにします。

これらの対策を講じることで、水槽の設置場所によるトラブルを最小限に抑え、健康で安定した環境を提供できます。

 

「過剰な給餌」:与えすぎに注意せよ!

アクアリウムでの適切な給餌は重要ですし、食べている姿を見ると可愛いので、ついつい餌を与えすぎてしまう傾向にあります。

しかし与えすぎには慎重になる必要があります。給餌過多は様々な問題を引き起こす可能性があります。

給餌過多の危険性

1. 水質の悪化: 過剰な餌を与えると残りがちで、これが水質を悪化させる原因となります。未消化の餌はアンモニアなどの有害な物質に変化し、魚たちの健康に悪影響を及ぼします。

2. 消化器官の負担: 継続的な給餌過多は魚の消化器官に負担をかけ、代謝や排泄に支障をきたす可能性があります。これにより消化不良やストレスが引き起こされます。

3. 肥満と健康問題: 過度な給餌は魚が肥満になりやすく、肥満は様々な健康問題を引き起こす可能性があります。例えば、内臓脂肪の蓄積や運動不足による筋肉の減少などが挙げられます。

 

適切な給餌のポイント

1. 適正な量: 魚たちが5分以内に食べられる量を与えましょう。残り餌が見受けられる場合は次回の給餌まで待つか、量を減らすことを検討します。

2. 定期的な絶食: 魚たちには定期的な絶食日を設け、消化器官を休息させることが重要です。これにより過度な負担を軽減できます。

3. バラエティ豊かな餌: 与える餌をバラエティ豊かにし、栄養バランスを保つよう心がけましょう。一種類の餌だけでなく、様々な種類の餌を交互に与えることが理想的です。

給餌においては適切な配慮が必要であり、食べ過ぎには慎重な管理が求められます。

 

失敗⑩: 水質管理が難しい

初心者が見落としがちな水質チェックのポイントがいくつかあります。

1. pHレベルの確認

水質管理ではまず、水の酸性やアルカリ性を示すpHレベルを確認することが重要です。多くの魚種は特定のpH範囲を好むため、理想的なレベルに調整する必要があります。

2. アンモニアと亜硝酸塩のモニタリング

アンモニアや亜硝酸塩は有害な物質であり、これらの濃度が高まると魚たちに健康被害を及ぼす可能性があります。水質テストキットを使用して、定期的にこれらの成分をモニタリングしましょう。

3. 濾過システムの確認

濾遊びシステムは水質管理において重要な要素です。濾過器や濾材が適切に機能しているか、汚れていないかを確認し、必要に応じて清掃やメンテナンスを行います。

4. 温度の調整

水温は魚たちの生態に大きな影響を与えます。魚たちが快適に過ごせるよう、水温を適切な範囲に維持することが重要です。サーモメーターを使用して水温を確認し、必要に応じてヒーターを調整します。

これらのポイントを把握し、水質管理に注意を払うことで、アクアリウムの環境を良好な状態に保つことができます。

 

おわりに

アクアリウムで重要なのは飼育水の管理です。飼育水さえ汚さなければ一般的な環境ならトラブルが起こる事はほとんどありません。

アクアリウムの飼育水を出来るだけ汚さない為にもここで説明したことを実践してみてください。もちろん一般的な事とは異なる事を言っている部分もあるかもしれませんので、他のサイトや周囲のアクアリスト・ショップの店員などの話も交えて自分なりのアクアリウムの管理を見つけるのもいいでしょう。

 

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