GEXのデュアルクリーンフリーを使っていて、「ろ材を増やしてろ過能力を上げたい」「純正のろ材以外も使いたい」「もっと汚れを取りやすくしたい」と考える人は少なくありません。上部フィルターはろ過槽へ手を入れやすいため、ろ材の構成を工夫しやすいのが特徴です。
ただし、デュアルクリーンフリーの改造は、ろ材を大量に詰めればよいわけではありません。通水を妨げるほど詰め込むと、流量低下や目詰まり、ろ過槽からの水あふれなどにつながる可能性があります。
この記事では、デュアルクリーンフリーのろ過能力を安全に高めるための考え方、ウールマットや生物ろ材の使い方、ろ材を詰める際の注意点、避けたい改造まで解説します。
デュアルクリーンフリーは改造できる?
デュアルクリーンフリーは、ろ過槽へアクセスできる上部フィルターなので、純正状態を基本にしながら、ろ材の種類や配置を工夫することは可能です。特に、物理ろ過を担当するマット類と、生物ろ過を担当するろ材の使い分けは、比較的取り組みやすい調整です。
一方、ポンプや本体を切断・加工したり、本来の水路を大きく変えたりする改造はおすすめしません。水漏れや故障の原因になるだけでなく、メーカーが想定した流量や安全性から外れる可能性があります。
上部フィルター全般の改造方法を知りたい場合は、上部フィルターの改造方法もあわせて確認してください。
改造する前に水の流れを理解する
ろ過能力を高めるうえで重要なのは、ろ材の量だけでなく「水がろ材をきちんと通ること」です。ろ材を大量に入れても、水が流れにくくなったり、一部だけを通ってしまったりすると、期待した効果を得にくくなります。
また、上部フィルターはポンプでくみ上げた水をろ過槽へ送り、ろ材を通したあと水槽へ戻す仕組みです。ろ過槽へ入ってくる水量に対して排水が追いつかなくなるほど詰め込むのは避ける必要があります。
ろ材を入れすぎない
空いている場所を見るとすべてろ材で埋めたくなりますが、隙間なく押し込むのは逆効果になる場合があります。ウールマットが汚れて目詰まりすると、さらに通水性が悪くなります。
ろ材量と通水性の関係はろ材の入れすぎは逆効果?上部・外部フィルターの適正量と詰め方で詳しく解説しています。
改造方法1:ウールマットで物理ろ過を強化する
最初に取り組みやすいのが、ゴミを捕まえる物理ろ過部分の調整です。魚のフン、餌の食べ残し、水中の細かなゴミを先に捕まえることで、その後の生物ろ材へ大きな汚れが入り込みにくくなります。
市販のろ過マットやウールマットを使う場合は、水がきちんと通る厚みにします。何枚も重ねて強く押し込むと目詰まりしやすくなるため、「厚いほど高性能」とは考えないほうがよいでしょう。
ウールマットは交換しやすい位置に置く
物理ろ材は汚れやすいため、簡単に取り出せる配置が向いています。頻繁に掃除する部分を生物ろ材の奥深くへ入れてしまうと、メンテナンスのたびにろ過槽全体を触ることになり、管理が面倒になります。
汚れを受ける部分と長期間維持する生物ろ材を分けて考えると、メンテナンスしやすくなります。
改造方法2:生物ろ材を追加する
ろ過槽に余裕がある場合、生物ろ過用のろ材を追加する方法があります。リングろ材や多孔質ろ材などは、微生物が定着する場所を確保する目的で使われます。
ただし、生物ろ材を増やすことだけで水質が無条件に良くなるわけではありません。十分な通水と酸素があり、定期的な水換えが行われていることが前提です。水槽に対して魚が多すぎる場合は、ろ材追加だけで解決しようとせず、飼育密度や給餌量も見直してください。
ネットに入れると管理しやすい
細かなろ材をそのまま入れるより、ろ材ネットにまとめると取り出しや掃除がしやすくなります。ただし、ネットへ強く詰め込むと内部へ水が流れにくくなるため、ある程度余裕を持たせます。
生物ろ材はウールマットのように頻繁に新品へ交換するものではありません。目詰まりが目立つ場合は、飼育水などで軽く汚れを落とし、必要以上に洗いすぎないようにします。
改造方法3:物理ろ過と生物ろ過の役割を分ける
デュアルクリーンフリーのろ材構成を考える際は、「大きなゴミを取る場所」と「微生物を維持する場所」を分けると管理しやすくなります。
先にマット類で大きな汚れを捕まえ、その後に生物ろ材へ水を通す考え方にすると、生物ろ材がフンや餌の残りで急速に詰まるのを抑えやすくなります。
ろ材の順番は水の流れを基準に考える
ろ材の配置は、単純に「上から何番目」と覚えるより、実際にどこから水が入り、どこへ抜けるかを確認して決めるのが重要です。水が最初に当たる場所で大きなゴミを捕まえ、その後に生物ろ材へ流す構成を基本にします。
上部フィルターのろ材選びについては、上部フィルターにおすすめのろ材と選び方も参考になります。
改造方法4:活性炭などの吸着ろ材を必要に応じて使う
水の黄ばみやにおいなどが気になる場合は、活性炭などの吸着ろ材を必要に応じて使う方法もあります。ただし、吸着ろ材は生物ろ材とは役割が異なり、永久に効果が続くものではありません。
目的がないのに大量に入れる必要はなく、「何を改善したくて入れるのか」を決めて使うことが大切です。黄ばみやにおい対策として活性炭を使う場合は、製品ごとの交換時期も確認してください。
デュアルクリーンフリー改造で注意したいこと
上部フィルターの改造で最も避けたいのは、ろ過能力を上げようとして本来の水の流れを悪くしてしまうことです。改造後は、ポンプが正常に水を送っているか、ろ過槽の水位が異常に上がっていないか、水槽へ正常に戻っているかを必ず確認します。
排水経路をふさがない
ろ材やマットがずれて排水部分をふさぐと、ろ過槽の水位が上がる可能性があります。特に柔らかいウールマットは、設置時には問題がなくても汚れを含むと通水性が低下します。
改造直後だけでなく、数日後やマットが汚れた状態でも水の流れを確認してください。
ろ材を強く押し込まない
ろ材を詰め込むほど表面積は増えますが、通水性が落ちれば意味がありません。ろ材同士の間を水が流れられる余裕を残します。
ポンプへの負担を考える
流量が明らかに低下している場合は、ろ材の詰めすぎだけでなく、吸水部やポンプの汚れも確認します。長期間使ったポンプでは、インペラー周辺の汚れなどによって流量が落ちることもあります。
フィルターの流量低下については水槽フィルターの流量が弱くなった原因と対処法も参考にしてください。
ポンプを強力なものへ交換する改造は必要?
「ろ材を増やしたのでポンプも強くしたい」と考えることがありますが、単純に高流量のポンプへ変更すればよいとは限りません。ろ過槽や排水経路には処理できる水量があり、想定以上の流量を送り込むと水位上昇やあふれにつながる可能性があります。
まずは純正状態で流量が正常か確認し、流量が落ちているならポンプの清掃、吸水部の確認、ろ材の詰めすぎ解消を優先します。
上部フィルターを水中ポンプ方式へ変更する考え方については、上部フィルターを水中ポンプ化する方法でメリットと注意点を解説しています。
やってはいけない改造
デュアルクリーンフリーは比較的ろ材を工夫しやすいフィルターですが、安全性やメンテナンス性を損なう改造は避けるべきです。
本体を大きく切断・穴あけする
本体加工は水漏れや強度低下につながる可能性があります。一度加工すると元に戻せず、メーカー保証にも影響する可能性があるため、ろ材調整だけで目的を達成できるなら加工しないほうが安全です。
排水部分までろ材で埋める
空いている場所をすべてろ材で埋めるのは避けます。排水経路や安全のための空間を確保し、水が滞りなく戻る状態を維持してください。
メンテナンスできない構成にする
ろ過能力を求めるあまり、掃除のたびにろ材をすべて取り出さなければならない構成にすると、結果的にメンテナンス頻度が下がりやすくなります。汚れやすいマットは取り出しやすく、生物ろ材は頻繁に触らなくて済む配置が理想です。
改造より先に見直したいポイント
水が汚れやすい、ろ過が足りないと感じた場合でも、原因がフィルターの能力不足とは限りません。餌の与えすぎ、魚の入れすぎ、水換え不足、底床にたまった汚れなどでも水質は悪化します。
ろ材を追加する前に、現在のメンテナンス頻度や飼育密度を確認してください。純正構成でも、マットが目詰まりしたままでは十分な性能を発揮できません。
水換えはろ材追加では代用できない
生物ろ過を強化しても、水換えが不要になるわけではありません。ろ過バクテリアがアンモニアなどを処理しても、最終的に蓄積する物質や水中の汚れをすべてフィルターだけで除去できるわけではないためです。
改造後も、飼育している魚や水槽の状態に合わせて定期的な水換えを続けてください。
おすすめの改造方針
初めてデュアルクリーンフリーを改造するなら、大掛かりな加工より「物理ろ過と生物ろ過の構成を整える」ことから始めるのがおすすめです。
まず純正状態で水の流れを確認し、取り出しやすい位置に物理ろ材を置き、余裕のある部分に生物ろ材を追加します。そのうえで、数日から数週間使いながら流量、汚れ方、水質、メンテナンスのしやすさを確認します。
一度に大きく変更すると、どの変更が良かったのか、どこに問題が出たのか分かりにくくなります。少しずつ調整するほうが安全です。
まとめ
GEXデュアルクリーンフリーは、ろ材の種類や配置を工夫することで、物理ろ過や生物ろ過を強化できます。取り組みやすいのは、ウールマットによる物理ろ過の調整と、通水性を確保したうえでの生物ろ材追加です。
一方、ろ材を隙間なく詰め込む、排水経路をふさぐ、必要以上に強力なポンプへ変更する、本体を大きく加工するといった方法はトラブルにつながる可能性があります。
改造の目的は、ろ材をできるだけ多く入れることではありません。水が正常に流れ、掃除しやすく、安定してろ過できる状態を作ることです。まずは純正状態を基準に、物理ろ過と生物ろ過を分けながら無理のない範囲で調整してください。